このような症状の方は当院をご受診ください
- 肩の痛みや肩こりが続いている
- 腕を上げると肩が痛む
- 肩が動かしにくい、可動域が狭くなった
- 服の着脱や髪を結ぶ動作がつらい
- 肩を動かすと痛みや引っかかりを感じる
- 夜眠れないほど肩が痛む
- 転倒やスポーツ後から肩の痛みが続いている
- 肩の痛みが日常生活に影響している
肩の症状の原因となる主な疾患
肩関節周囲炎・凍結肩(いわゆる四十肩や五十肩)
肩関節周囲炎は、肩関節やその周囲の組織に炎症が起こり、肩の痛みと動かしにくさが生じる病気です。一般に「四十肩」「五十肩」と呼ばれます。ただし、中年以降に肩が痛くなったからといって、すべてが肩関節周囲炎というわけではありません。腱板断裂や石灰沈着性腱板炎などを区別することが診療の出発点です。肩関節周囲炎は幅広く使われる名称で、そのうち原因不明の明らかな拘縮を呈するものを凍結肩と呼びます。
痛みが強い時期は、消炎鎮痛薬や注射などで痛みをコントロールします。痛みを強める作業を減らし、強い痛みを我慢して無理にストレッチすることは避けます。一方、長期間まったく動かさないと拘縮につながるため、動かす範囲は医師や理学療法士と調整します。
痛みが落ち着いたら、運動療法で少しずつ動く範囲を広げ、筋力や日常動作の回復を目指します。保存療法でも強い拘縮や生活への支障が残る場合には、麻酔下で関節を動かす処置や、関節鏡で硬くなった関節包を切離する手術などを検討します。
肩の痛みが続く、夜眠れない、動く範囲が狭くなってきた場合は整形外科を受診してください。とくに、転倒後に腕が上がらなくなった場合や、発熱・腫れ・熱感を伴う場合は、四十肩・五十肩と自己判断せず、早めの評価が必要です。
石灰性腱炎
肩の腱板(腕を動かす腱)にカルシウムの結晶が溜まり、炎症や痛みを起こす病気です。40~50歳代に多く、突然の強い肩の痛みや、夜間に眠れないほどの痛み、腕が上がらないといった症状がみられます。動かしたときの痛みが長く続く場合もあります。
診察とレントゲン(X線)検査で石灰の沈着を確認し、必要に応じて超音波検査などを行います。五十肩と症状が似ているため、適切な診断が大切です。
治療は、痛みが強い時期には無理な動作を控え、消炎鎮痛薬や必要に応じた注射で炎症を抑えます。痛みが落ち着いたら、肩の動きが硬くならないようリハビリテーションを進めます。多くは手術をせずに改善しますが、症状が長引く場合は追加の治療を検討します。
肩腱板断裂
肩腱板断裂は、肩関節を支え、腕を上げたり回したりする「腱板」が、一部または全層にわたって切れた状態です。肩の痛みや筋力低下の原因になりますが、断裂していても腕を上げられる人や、ほとんど痛みがない人もいます。「腕が上がるから断裂していない」とは判断できません。
腱板とは、肩甲骨から上腕骨につながる4つの筋肉、棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋の腱が、上腕骨頭を取り囲むように構成する組織です。上腕骨頭を肩甲骨の関節面に安定させながら、腕の動きを支えます。
断裂は棘上筋腱に多く、腱の厚みの一部が切れる「部分断裂」と、厚み全体に断裂が及ぶ「全層断裂」があります。
主な原因は、加齢に伴う腱の変性と外傷です。転倒して手をつく、重い物を持ち上げるなどをきっかけに切れる場合もあれば、明らかなケガがなく、徐々に断裂する場合もあります。弱くなっていた腱に小さな負荷が加わり、症状が出ることもあります。
診察で肩の動き、筋力、痛みが出る動作を確認し、超音波やMRIで断裂の有無・大きさ、腱や筋肉の状態を評価します。レントゲンでは腱そのものは通常見えませんが、骨折、石灰沈着、関節の変形などの確認に役立ちます。
保存療法では、負担の大きい動作の調整、鎮痛薬、必要に応じた注射、リハビリテーションを行います。
リハビリテーションでは肩の動きを保ち、残っている腱板や肩甲骨周囲の筋肉の働きを改善します。保存療法で改善しない場合には手術を検討いたします。
転倒などの後、急に腕が上がらなくなった場合は、五十肩と考えて長く様子を見ず、早めに整形外科を受診してください。骨折・脱臼の確認に加え、外傷性腱板断裂として早期の治療判断が必要になる場合があります。
脱臼
脱臼とは、関節部の骨の位置が正常な位置からずれてしまっている状態のことをいいます。
さまざまな部位で起こりうるのですが、とくに多いのが肩関節脱臼です。
転倒した際に手を強くついたり、ラグビーや柔道などのコンタクトスポーツで手を強く引っ張られたりしたときに発症します。
トップアスリートの場合、肩関節周囲の筋肉が鍛えられているため、比較的脱臼は起こりにくいのですが、何度も脱臼を繰り返してしまうケースもあります。
肩関節を脱臼すると、手を挙げられなくなったり、肩の高さが左右で異なったりします。
こうした状態のままにしておくと、関節周辺の神経が障害されて麻痺や知覚障害を引き起こすこともあるので、なるべく早い段階で医療機関を受診し、骨の位置を元に戻す治療を受けるようにしてください。
肩峰下滑液包炎
肩の骨の一部である「肩峰」と、腕を動かす腱である「腱板」の間には、動きを滑らかにする袋状の組織「滑液包」があります。この滑液包に炎症が起こり、肩に痛みが生じる病気です。腕を上げる動作の繰り返しや肩への負担などが関係し、腱板の炎症や断裂に伴って起こることもあります。
主な症状は、腕を上げ下げするときの肩の痛みや、夜間の痛みです。着替えや洗髪など、日常の動作に支障が出る場合もあります。
診察で痛みの場所や肩の動きを確認し、必要に応じて超音波検査やMRIで滑液包や腱板の状態を調べます。レントゲン検査は、骨の変化や石灰沈着などの確認に役立ちます。
治療は、痛みを誘発する動作を控え、消炎鎮痛薬や肩関節腔内注射、リハビリテーションを行い、改善を目指します。痛みが続く場合には、滑液包へのステロイド注射を検討します。肩を長期間動かさずにいることは避け、痛みに合わせて少しずつ動きや筋力を回復させることが大切です。
上腕二頭筋長頭腱炎
力こぶをつくる筋肉「上腕二頭筋」と肩をつなぐ腱のうち、肩の前方を通る「長頭腱」に炎症や傷みが生じる病気です。スポーツや仕事で肩を繰り返し使うこと、加齢による腱の変化などが関係し、腱板の損傷を伴うこともあります。
主な症状は、肩の前側の痛みと結節間溝に沿った圧痛です。腕を上げる、荷物を持ち上げる、腕を後ろに回すといった動作で痛みが強くなり、上腕に痛みが広がる場合もあります。
診察で痛む場所や動作を確認し、必要に応じて超音波検査やMRIで腱の状態や、腱板損傷などの合併を調べます。
治療は、痛みを誘発する動作や負荷を減らし、消炎鎮痛薬やリハビリテーションで改善を目指します。痛みが続く場合は、超音波ガイド下で腱鞘内注射を検討します。十分な保存療法でも改善しない場合や、腱の損傷が強い場合には、手術を検討することもあります。
肩インピンジメント症候群
腱板の上には「肩峰」という肩甲骨の出っ張りがあり、その間には、動きを滑らかにする「滑液包」があります。「インピンジメント」は「挟み込み」という意味で、従来は、腕を上げたときに腱板や滑液包が肩峰の下で圧迫されて痛む、と説明されてきました。しかし、痛みの原因は、骨による挟み込みだけでは説明できません。腱そのものの変化や、繰り返しかかる負担なども関わります。このため、「肩峰下疼痛症候群」や「腱板関連肩痛」という名称も使われています。
診察では、肩の動く範囲、筋力、痛みが出る動作を組み合わせて評価します。一つの動作テストだけで、原因や診断を確定することはできません。画像検査も全員に最初から必要なわけではなく、診察所見や治療経過に応じて、超音波やMRIなどを検討します。
治療は鎮痛薬や注射で除痛した後に、患者さんの状態を見極めたうえで、なるべく早い段階からリハビリテーションを開始します。
変形性肩関節症
スポーツなどで肩関節を酷使したり、脱臼や骨折などをきっかけに軟骨がすり減ったりすることで起こる疾患ですが、こうした要因がなくても、中高齢の方に起こることがあります。
発症初期の段階では、肩関節にこわばりや痛みがみられ、可動域が制限されるようになります。
さらに進行すると、関節内に関節液が溜まったり、睡眠中に突然の痛みが起こったりします。
なお、すり減った軟骨や変形した骨を元の状態に戻すことはできませんが、お薬などで痛みを抑えることは十分に可能です。
さらに、リハビリテーションを導入し、可動域制限が起こりにくい状態にしていきます。
保存療法を行っても痛みが強く、睡眠や日常生活への支障が続く場合には、人工肩関節置換術を検討します。
